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トヨタKINTO、自動車サブスクに「世代」と「地方」のカベ

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トヨタグループで自動車のサブスクリプション(定額課金)サービスを手掛けるKINTO(名古屋市)は1月20日、自動車に関連する様々なサービスを集約した「モビリティマーケット」と呼ぶオンラインプラットフォームを4月に立ち上げると発表した。

 既に20社と提携し、行楽地やイベント会場周辺の駐車場予約、ドライブインシアター、キャンピングカーのシェア、車でしか行けない場所での食事体験など、各社がバラバラに提供していた自動車関連サービスを集約。KINTOの契約者はこれらのサービスを3万~6万円相当受けられるようになる。

 「さらに30社と協議を進めており、参加企業を100社、200社と増やしていきたい」(KINTOの小寺信也社長)という。提携した1社、車中泊事業を運営するカーステイ(東京・新宿)は「KINTOの集客力でこれまでリーチできなかった顧客を取り込みたい」(広報担当者)と期待を寄せる。

 「自動車を作る会社」からの脱皮を目指すトヨタ自動車の豊田章男社長。KINTOが進めるモビリティーのサービス化はその軸の一つと言える。ただし、これまでの歩みは必ずしも順調とは言えない。

 KINTOは2019年、税金、車検・保守、任意保険などの費用を含めた一定額を毎月支払うことで自動車を利用できるサブスクリプションサービスを始めた。20年末時点の累計申込み数は約1万2300件で、「まだまだ少なく、全く満足できる水準ではない」(同社)。トヨタの20年の国内新車販売台数はおよそ150万台。カーシェアリング最大手のパーク24の会員数が150万人を超えていることを考えれば、規模の面ではまだまだ発展途上と言えそうだ。

消費者行動を変える難しさ

 「一番の難しさは、『車は買うもの』と何十年も思ってきたお客様の意識を変えること」と小寺氏は吐露する。KINTOのサブスクは月額料金に任意保険料を含むため、保険料が高い若年層にはメリットが大きく、自動車を購入して保険加入する場合と比べて、毎月の支払額が1万~3万円程度安くなることが期待できる。“車離れ”が指摘される20~30代が申込者の4割を、車を保有していない人も同4割を占めるなど、新規客の取り込みでは成果を上げつつある。

 ただ、保険等級が高いベテランドライバーにとっては、メリットは薄れる。さらに、カーシェアと比べて導入の敷居の高さは拭えない。一部の例外を除き、契約期間中に解約すると違約金が発生する。自宅近くに条件に合う駐車場を確保する手間や、その料金もネックになる。自動車利用にかかる費用のほとんどを変動費化できるカーシェアに比べて手軽さは劣る。

 自動車のサブスクサービスについては、消費者の意識調査でも「割高」「わからない」といったイメージを抱く人が多い。購入とシェアのはざまに位置するサブスクは、利用のメリットが見えづらいというのが、最大の壁になっている。

 ただし、コロナ禍で雇用や所得への不安が増す中で、「安く生活の足を確保したい」という切実なニーズが増えている。月額1万1700円からという低価格帯のサービスで、こうしたニーズを取り込んでいるのが「おトクにマイカー 定額カルモくん」を運営するナイル(東京・品川)だ。

 オリックス自動車が所有する車両のリース契約を仲介するモデルで店舗や在庫を持たず、中古車も選べるようにして低価格を実現した。任意保険や車検の費用は、別途必要だ。完全オンライン契約によって外出しにくい時期の需要を刈り取り、20年の契約者数は前年対比でおよそ4倍に増加した。

 圧倒的に都心部の契約者が多いというKINTOとは対照的に、カルモの利用者の約9割は東京以外の地方在住。日常の足として車が欠かせない一方、「コロナ禍でボーナスが減る恐れがあるなど、先行きに不安を感じて低価格な定額サービスを求める人も増えている」(同社)。過去には、販売店で新車購入のローンの審査が通らず、カルモでの契約に至った利用者もいるという。

 自動車の維持に不安を抱える利用者が増える中、KINTOも中古車を利用したサービスを検討しており、「21年後半に立ち上げたい」(小寺氏)という。自動車の新たな消費スタイルを根付かせるには、等身大の実需を捉えることが不可欠だ。

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