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自動運転に淘汰の波 Uber、自社開発から撤退

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米ウーバーテクノロジーズは自動運転技術の開発子会社ATGを米新興のオーロラ・イノベーションに売却し、自社開発から撤退する。自動運転の実用化には走行試験などの投資コストが重荷となっており、関連企業の淘汰や再編が始まった。ウーバーと提携するトヨタ自動車にとってはオーロラとの関係強化が技術戦略上のカギとなりそうだ。

オーロラは最高経営責任者(CEO)のクリス・アームソン氏らが2017年に立ち上げた自動運転分野の有力スタートアップ。アームソン氏は米グーグルの自動運転プロジェクトを指揮したことでも知られる。19年には自動運転向けセンサーの開発会社を買収するなどハードウエアにも強いとされ、近年はトラック向けのシステムに力を入れている。

オーロラは21年1~3月をメドにATGを吸収合併する。同社は人が移動するためのライドシェア用車両の自動運転に強く、オーロラは再編に幅広い関連技術を確保できる。技術者も従来の3倍の1800人に増える。自動運転を巡っては競争が激しくなる一方、技術者が限られているのが課題だった。アームソン氏も声明で「非常に強力なチームと技術を手に入れることができる」と強調した。

ウーバーを含むATGの既存株主はオーロラの約40%の株式を保有することになるという。ウーバーは合併にあわせて実施する4億㌦の現金出資を含めてオーロラに26%を出資し、自動運転車の実用化で連携する考えだ。

新型コロナにより人々の移動が減り、ウーバーの業績は苦しい。20年7~9月期の売上高は前年同期比18%減の31億2900万㌦と2四半期連続で前年実績を下回った。最終損益も10四半期連続の赤字だ。

ウーバーは運転手が要らなくなる自動運転技術を収益改善の切り札と位置づけていたが、自動運転を担う人工知能(AI)の性能を高めるには公道で数十~数百台規模の車両を走らせて情報を蓄積する必要がある。自動運転を含むウーバーの研究開発費は年48億3600万㌦に上り、業績を圧迫していた。18年3月にはアリゾナ州で公道走行試験中だった車両が歩行者をはねて死亡させる事故を起こし、自動運転技術開発は停滞していた。

ウーバーとはトヨタも資本業務提携している。トヨタは18年にウーバーに5億㌦を出資し、19年にはデンソーやソフトバンクグループの投資ファンドと共にATGに、計10億㌦を出資。世界各地でのライドシェア事業の展開をみすえ、関連技術やノウハウの確保を狙った。足元では21年にトヨタとウーバーのシステムを連携させた自動運転車をウーバーのライドシェアサービスに導入することを目指している。

トヨタは「オーロラとの自動運転技術に関する協業の機会を楽しみにしている」との意向を表明し、今後はオーロラとの連携拡大を探るとみられる。もっとも同社には韓国の現代自動車も出資しており、狙い通りに開発を進めるためにはオーロラとの関係をいかに強化するかがポイントとなりそうだ。

トヨタは米国だけでなく中国でも自動運転の開発体制を整えてきた。19年にネット検索大手・百度(バイドゥ)が主導する自動運転の開発連合「アポロ計画」に参画し、20年2月には中国のスタートアップ企業、小馬智行(ポニー・エーアイ)への4億㌦の出資を決定。自動運転に必要なAI技術での連携など、実用化に向けた動きを加速している。

ウーバーの自社開発撤退により、自動運転技術の収益化の難しさが改めて浮き彫りになった。米国の有力企業はアルファベット傘下のウェイモとゼネラル・モーターズ(GM)子会社のGMクルーズ、フォード・モーターと提携するアルゴAI、電気自動車(EV)大手のテスラなどに絞り込まれつつある。

資金難に陥った自動運転分野のスタートアップを米IT(情報技術)大手が買収する事例も目立つ。アップルが19年6月に米スタンフォード大学発のドライブ・エーアイを買収したほか、アマゾンは20年6月に同大の出身者が設立したズークスを買収すると発表。モビリティー分野でも、資金力のある米IT大手がじわじわと存在感を高めつつある。

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