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ポルシェが千葉にコース開設 自動車販売、ネットとリアルに二極化

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独ポルシェの日本法人ポルシェジャパン(東京・港)は、2021年夏に国内初となるドライビング体験施設「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(PEC東京)」を開設すると発表した。目玉となるのが、周回距離2.1kmの本格的なドライビングコースだ。

木更津の地形を活かした立体的なコースが特徴

PEC東京では、ドイツの「ニュルブルクリンク」など有名サーキットの一部を再現したコーナーや、地形を生かした高低差のあるコースを走行できるという。ポルシェのオーナー以外も運転を体験でき、インストラクターによるドライビングレクチャーなども開講される予定だ。コロナ禍で販売の「オンライン化」が急拡大した自動車業界だが、一方で輸入車メーカーを中心に、リアルでの体験価値を追求するマーケティングも目立っている。
ポルシェ・エクスペリエンスセンターの開設はドイツのライプツィヒや米ロサンゼルス、上海などに続き世界で9番目。他国のケースから推計し、日本でも年間1万人以上の来場を見込んでいるという。アクセスの良さや土地の広さから、建設地を千葉県木更津市に決定。投資額はおよそ50億円規模の計画だ

PEC東京ではポルシェが車両を貸し出し、非オーナーもコースで走行を体験できる

初の電気自動車(EV)「タイカン」の発売に合わせて、優先購入できる事前予約サイトを設置したり、車の内装や外装のシミュレーションにVR(仮想現実)ゴーグルを活用したりと、他方ではデジタルを駆使した販売戦略も進めるポルシェ。ただ、ポルシェジャパンのミヒャエル・キルシュ社長は11月24日の記者会見で、新施設について「思春期の息子に恋愛はどんなものかを説明するが、恋に落ちる瞬間は体験しないと分からない」と表現。リアルの体験価値こそが潜在顧客への一番のアプローチになるという考えも強調した。

車のリアルの価値を顧客に訴求する方法は、実際に運転することだけに限らない。その一つの例が、仏ルノーの日本法人ルノー・ジャポン(横浜市)が山中湖畔で開催する「カングージャンボリー」だ。
ルノーの乗用車「カングー」のオーナーが全国から集結し、テントやベンチを広げて愛車と共に思い思いの休日を過ごす、人気のファンイベントだ。千葉県在住の女性は「カングージャンボリーに参加し、自分もこのイベントの一員になりたいと思ってカングーを購入した」と話す。輸入車のオーナーは生活必需品としてではなく、自己表現の一部として車を選ぶ志向が強い。イベントを通じて「車のある生活」を肌で感じてもらい、ブランドの世界観に取り込むことが何よりのプロモーションとなる。

FCAジャパン(東京・港)も、「Jeep(ジープ)」オーナーを対象にした「ジープフェスティバル」を開催し、人気を集める。日本の自動車メーカーは顧客数が膨大で、オーナーを対象にしたファンイベントを開催するにはハードルは高いが、規模感がコンパクトな輸入車ではこうしたリアルのイベントが着実なファンづくりに欠かせない存在となっている。

「オンライン上で車両の購入手続きが完結」「サブスクで車に乗れる」など、リアルと離れた販売アプローチが模索されるコロナ禍。その一方で、体験価値を訴求するリアルの取り組みも進化していきそうだ。

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