トヨタ自動車は9月16日、新たなマーケティングおよびモビリティビジネスを創造する新会社を発足すると発表した。この新会社は、トヨタ自動車、電通グループ、電通、デルフィスとともに2021年1月に新体制を発足する。
2つの事業会社 電通とデルフィスの融合
新体制発足へ向け、2020年9月、トヨタ自動車、電通グループ、デルフィスは、デルフィスによる電通グループへの第三者割当増資を含む資本業務提携契約を締結。2つの事業会社と、それを統括する持株会社による新体制を発足する。
事業会社1は、デルフィスの事業を基盤に「お客様から最も信頼されるブランドづくりに向けた新たなコミュニケーションの革新」「デジタル社会の進展など、時代の変化を先取りした新たなマーケティングへの変革」「モビリティ社会でのビジネスへのチャレンジ」を実施。
事業会社2は、リテール領域のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進により、デジタルコミュニケーション分野の研究機関として、新たな「仕組み」と「ビジネス」の創造に取り組む。
そして、その事業会社を統括する持株会社を設立し、事業会社はいずれもこの持株会社の100%子会社となる。この持株会社はトヨタ自動車が66%、電通グループが34%出資、代表取締役は山下義行氏。山下氏は事業会社2の社長も兼任し、事業会社1の社長には長田准氏が就任する。
事業会社(①)
- お客様から最も信頼されるブランドづくりに向けた新たなコミュニケーションの革新
- デジタル社会の進展など、時代の変化を先取りした新たなマーケティングへの変革
- モビリティ社会でのビジネスへのチャレンジ
事業会社(②)
持株会社(HD社)
設立の背景
この新会社設立の背景には、近年、ブログやSNSなどのソーシャルメディアの急速な普及により、情報発信の主体はマスメディアだけでなく個人や企業など多岐にわたり、その手法も多様化が進んでいるとし、トヨタ自身もトヨタイムズといったオウンドメディアを中心に取り組んできた。
CMとネットを融合させたオウンドメディア「トヨタイムズ」
また、CASE(コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化)やMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の発展により、人々の暮らしを支えるあらゆるモノ、サービスが情報でつながる社会を見据え、トヨタはWoven Cityなどを通じて「幸せを量産する」事業へのチャレンジを始めている。
自動車を取り巻くビジネスモデルが大きく変化する社会において、変革を大胆にスピード感を持って行なうにはトヨタ自動車単体では実現が難しいと考えているのだ。
トヨタ自動車は、電通及びデルフィスとともに新たな体制で、これまでの手法に拘らない広告代理店の領域、自動車メーカーの領域を超えたサービスの提供を目指していく。