2020年ニュース

コロナ禍・アフターコロナ|自動車業界の業績まとめ

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自動車メーカー上場9社の第1四半期(2020年4~6月)連結決算発表が8月6日までに出そろった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で自動車各社は、この4~6月期、世界各地の工場が生産停止と営業活動休止に追い込まれ、生産・販売台数が急減したことで業績が大幅に悪化し赤字に転落する企業も相次いだ。
上場自動車メーカー9社は、乗用車7社(トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、スズキ、スバル、マツダ、三菱自動車)、商用車2社(日野自動車、いすゞ)。
各社の第1四半期連結業績を見ると、トヨタとスズキを除く7社が最終損益で赤字に転落した。ただし、「4~6月がコロナの影響を最も大きく受けた底で、7月以降はコロナ第2波の懸念はあるが、徐々に回復に向かう」(中村知美スバル社長)との見方も多い。実際、スバルのほか、ホンダも今通期(20年度)の業績予想では、黒字確保の見通しとしている。

通期業績では日産、三菱自動車、マツダが赤字の予想

すでに、トヨタは5月の前期連結決算説明会で、今期の営業利益は5000億円の確保と公表していたが、今回の第1四半期連結決算発表でホンダは2000億円、スバルが800億円の営業利益の黒字確保を予想。また、商用車のいすゞは500億円、日野は20億円の黒字確保の予想を公表した。
これに対し、今通期業績予想で赤字の見通しを公表したのが、日産、三菱自動車、マツダの3社。マツダは900億円の最終赤字から現在進行中の中期経営計画の達成時期を1年延期し「固定費の効率化や原価低減で損益分岐点の引き下げに取り組む」(丸本明社長)ことを表明した。
最も業績の落ち込みが厳しいのが、日産自動車と三菱自動車のルノー国際連合で、第1四半期業績の最終損益で日産が▲2856億円、三菱自が▲1761億円もの赤字転落となった。今通期業績予想も日産は▲6700億円、三菱自は▲3600億円の赤字を公表しており、ともに新中期経営計画を発表して構造改革による復活を目指すものの、見通しは険しいものとなっている。
一方、スズキは今回の第1四半期連結業績で最終損益が18億円。赤字転落は免れたものの、コロナの影響による特別損失154億円を計上し、「利益はほぼゼロ」(長尾正彦常務役員)であり、主力のインドがコロナ感染の深刻化で見通しが困難なことから今通期予想の発表を見送らざるを得なかった。

トヨタはコロナ危機でも収益体制を確保

今回の自動車各社の第1四半期連結決算発表は、コロナ禍でオンライン会見や電話会見となったが、社長が出席したのは日産、三菱自、マツダ、スバルで、トヨタは先述したように、今期から四半期ベースの説明会は取り止めて中間決算と通期決算のみに切り替えた。
繰り返しとなるが、すでにトヨタは、5月の前期連結決算発表説明会で今通期の営業利益を5000億円(前期比80%減)となる見通しを公表している。この時点で豊田章男社長は「今回のコロナ危機はリーマンショックよりインパクトがはるかに大きいが、社内で基準づくりが必要と判断して黒字確保をあえて公表した」と述べている。トヨタは、20年度の世界販売を22%減となることを前提に営業黒字5000億円確保を見込んだ。
これは、今回のコロナ禍においても黒字を維持できる企業体質を社内外にアピールすることと、ウィズコロナやアフターコロナの状況においても、トヨタの向かう方向を堅持することが狙いだったのだろう。
また、ここで注目されたのが、7月28日にトヨタの自動運転関連ソフトウェアの先行開発を担うTRI-ADを、持株会社の「ウーブン・プラネット・ホールディングス」と事業会社「ウーブン・コア」「ウーブン・アルファ」に分け、2021年1月から新体制で事業を拡大・発展させていくことを発表したことだ。
「ウーブン」とは、紡ぐとか織り込まれたという意味であり、トヨタのルーツである豊田自動織機にもつながり「未来に向けた実証実験都市Woven」と名付けたトヨタの今後の方向に重要な意味を持つことになる。
リーマン直後に社長就任してから12年目となった豊田章男トヨタ体制は、コロナ危機の最中にあっても収益を確保しつつ、次の手を打ってきている。

乗用車5社が売上げ半減により最終損益で赤字転落

第1四半期の連結業績では、乗用車5社が売り上げ半減により最終損益で赤字転落となった。トヨタは最終損益が1588億円と、大幅な販売台数減少の中でも黒字を確保した。期首時点では非開示だった通期の連結税引き前利益は8900億円、最終損益は7300億円となる予想も示した。
スズキは18億円、前年同期比96%減でかろうじて黒字確保となったが、コロナ影響による特別損出154億円の振り替えで実質赤字でもある。
第1四半期の最終損益での赤字額は、日産▲2856億円、三菱自▲1761億円、ホンダ▲808億円、マツダ▲666億円、スバル▲77億円、いすゞ▲98億円、日野▲80億円。やはり、日産と三菱自の赤字幅が大きく、両社の通期業績予想でも日産が▲6700億円、三菱自が▲3600億円の最終赤字となる見通しだ。
仏ルノー・日産・三菱自の世界3位の国際連合を謳った連合軍が共倒れ状態に陥ったのは、ゴーン時代の拡大路線が行き詰まり業績悪化したところにコロナ禍が追い打ちをかけたことによる。ともに、固定費の大幅削減を主体とする新中期経営計画を発表したが、復活への道筋はかなり険しいものでさらなるリストラも必要な情勢だ。
ルノーも日産の大幅赤字転落もあって巨額の赤字(1~6月で72億3400万ユーロの赤字)を計上しており、7月1日付けでルノー新CEOに就任したルカ・デメオ氏の動向次第でルノーとの関係も微妙なものとなりそう。3社の業績回復が遅れると、世界の“自動車大転換”に乗り遅れる懸念も出てくる。
第1四半期として初の赤字転落したホンダだが、通期業績予想については営業利益で2000億円(前期比68%減)、最終損益で1650億円(同64%減)の黒字確保の見通しを公表した。ホンダは「1Qはコロナ影響で四輪・二輪ともに生産供給、販売活動が落ち込んだが、2Q以降生産開始、供給体制も整って来ている」(倉石誠司副社長)とし、コロナは不透明だが中国・米国・日本の主要市場の回復で通期の黒字を確保できるとの見通しだ。
ホンダは、強い収益性の二輪事業が引っ張る形で四輪事業も第2四半期以降は回復すると見ている。だが、四輪事業の収益性改善は、最大の経営課題となっている。四輪の世界生産再編(内外工場閉鎖)などは、コロナ禍にあっても進めていかねばならない。
また、「コロナで働き方が変わることでテレワーク・セキュリティ対応が求められ、コロナ後の世の中の変化に対応して協業も積極的に進める」(倉石副社長)とし、中国の電池最大手CATLへの出資に踏み切り、ホンダ電動化戦略へ協業・協力を強化するものとしている。

トヨタ関係グループの各社も苦戦

トヨタの第1四半期連結業績は、営業利益が139億円(前年同期比97.1%減)、最終損益が1588億円(同74.3%減)。
スズキは、第1四半期連結業績において売り上げが半減したものの営業利益13億円(前年同期比97%減)、最終損益18億円(同95%減)と数字の上では黒字を確保した。だが、先述したように、コロナ影響での特別損失を154億円計上しており実質赤字といえる。
スズキの場合、主力のインドが新型コロナ感染拡大でロックアウト(都市封鎖)したことにより、4月の生産販売はゼロとなった。これが連結業績に大きく影響している。インドの感染動向は先が見えず、唯一、通期予想を今回も見送らざるを得なかった。インドの状況が今後の業績回復のカギを握る。
スバルは、全体の7割が米国事業であり、第1四半期は米国がコロナ影響で販売が落ち込んだことで赤字に転落した。だが、通期予想は先行き不透明としながらも、米国市場の回復と米国でのスバルブランドの強さで黒字確保を目指す。国内も新型車レヴォーグの予約販売を8月20日から開始する。
マツダは、第1四半期売り上げが56%減、最終損益が666億円の赤字となった。今通期も欧州での環境規制強化が重荷となり、最終損益が900億円の赤字見通しだ。マツダは24年度を最終年度とする中期経営計画を1年延期して立て直しを図る。
トヨタグループで非上場となっているダイハツも主力のインドネシアなど東南アジアのコロナ禍状況から厳しい業績となっているもようだ。
それに比べて商用車メーカーは、物流の必然性から第1四半期の売り上げの減少幅が小さい。トラック需要は30%台の減少で、いすゞは98億円、日野は80億円の最終赤字となった。それでも通期予想は、いすゞが営業利益で500億円、最終損益で120億円の黒字、日野は営業利益で20億円の黒字確保を見込む。
商用車メーカーの再編の動きも急であり、すでに日本の商用車4社のうち、ダイムラー傘下の三菱ふそう、ボルボ傘下のUDトラックス(2社は非上場)にトヨタグループの日野と、トヨタと資本提携を解消したいすゞはボルボと組んでUDトラックスを傘下とすることが決まっている。
コロナ影響も世界各地域市場で格差があり、その動向次第で自動車メーカーの再編をさらに促進させることにもなりそうだ。

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