2020年ニュース

トヨタ生産方式とは?

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トヨタ自動車の「トヨタ生産方式」は、「カイゼン」という言葉で世界中に知られている。工場現場だけでなく、ファーウェイ、アマゾンといった会社が熱心に研究する「トヨタ生産方式」を知るとトヨタの強さがみえてくる。

トヨタ生産方式とは?

トヨタ生産方式とはトヨタの創業者、豊田喜一郎が考案し、後に大野耐一が体系化した工場における生産方式をいう。
「工場では、サプライヤー(協力会社)から部品を仕入れて、ベルトコンベアに流して組み立てれば、それでいいんじゃないの? 」多くの一般の方はそれくらいの考えではないだろうか。
しかしそうではない。それぞれの工場には、それぞれの生産方式というものが存在する。そして、生産方式によって生産の効率はまったく違ってくる。
実際に自動車工場に見学に行ってみると、メーカーによってラインも作業のやり方もまったく異なっていることがわかる。
今では少なくなったが、同一のモノを大量に製造する、いわゆる大量生産方式というものがかつては主流だった。生産計画を立てて、部品を仕入れたら、どんどん作っていく。別名「押し込み生産」とも言う。部品を押し込んで、製品を作るからだ。そして、この場合、計画通りに製品が売れていけば問題はない。製品はマーケットに出て行って消費者が受け取り、在庫となることはない。
しかし、どんなに計画を綿密に立てても、販売計画というものは必ず狂う。「1万個売れる」と計画を立てて、余分も含めて1万200個分の部品を仕入れて、そして、実際に売ってみたら、9500個しか売れなかった、なんてことはよくある。

在庫にも維持費がかかる自動車の難しさ

計画することが悪いのではなく、消費者が製造会社の思うとおりの行動をすることはないのが現実であり、リアルな資本主義社会だ。
逆に計画が外れ、売れすぎて部品が足りなくなることもよくあることだ。部品を仕入れて製品を作ればいいのだが、あらためて部品会社に発注すると半年くらいはすぐに過ぎてしまう。商品が手元に来るのに半年以上もかかると消費者は怒るだろう。「今欲しいのに、半年後ならもういらないよ」と言われるのがオチだ。
計画以上に売れてしまい、追加で生産したものの、結果的に余ってしまったら、在庫として抱えるしかない。しかし、余ってしまった在庫は売るのが難しい。大安売りしたら、定価で買った客からクレームが来る。
また、自動車は高額な商品だから、野ざらしにするわけにはいかない。倉庫を借りて置いておくしかない。けれど、倉庫で大切に保管しても売れるわけではない。赤字の上に倉庫代がかかってしまう。倉庫を管理するための人件費だってバカにならない。クルマの在庫はとにかくコストがかかってしまうのだ。
そうならないための生産方式が「トヨタ生産方式」である。
「ムダをなくして、売れる分だけ作りたい」
それがトヨタの考え方である。今ではどこの製造会社も在庫を持たないで、売れる分だけ作る方針に変わっている。押し込み生産を続けている会社はムダをムダとも思わない会社だけだ。

トヨタ生産方式を支える2本の柱

トヨタが本格的にトヨタ生産方式への取り組みを始めるのは第二次世界大戦後のこと。ベースとなったのはトヨタグループの始祖・豊田佐吉氏考案の「自働化」と、トヨタの創業者・豊田喜一郎氏考案の「ジャスト・イン・タイム」という考え方だ。
「自働化」はトヨタ生産方式の基礎を築いた大野耐一氏の造語で、単純な機械化(自動化)と区別して「人間の知恵を付与することで、不良品を生産しない」仕組みのことを指す。
豊田佐吉氏が創業した豊田自動織機(トヨタの源流)では、織機の縦糸や横糸が切れたりなくなったりしたとき、機械が自動的に止まって不良品を「つくらない」仕組みが組み込まれていた。
そのことにヒントを得た大野氏がこの考えをトヨタで使う機械だけでなく、人間が作業を行うラインにも拡大して、「問題があれば機械を止めて、問題の原因を調べて改善する」ことにしたのだ。
つまり、不良品を検査で発見するのではなく、そもそも不良品をつくらないようにするというのがトヨタ生産方式の発想である。
もう1つの「ジャスト・イン・タイム」もまた豊田喜一郎氏の考案によるもので、「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」手に入れることができれば、生産現場の「ムラ・ムリ・ムダ」(トヨタ生産方式ではこの順番が大切)がなくなり、生産効率が上がるという考え方に基づくものである。
この方式は、フォード以来の大量生産方式とは違って、「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」届け、作業の中で余分なものを持たない、余分なものをつくらないことを基本にした生産・運搬の仕組みだ。
これを実現するための手段として、情報伝達と生産指示の役割を果たすために生まれたのが「かんばん」だ。一時は「かんばん」が大いに注目されたことで「トヨタ生産方式」ではなく「かんばん方式」と呼ばれた時期もあった。

トヨタ生産方式の4つの仕組み

1.改善(カイゼン、Kaizen)
海外では「Kaizen」とも表現されている。トヨタ生産方式のものづくりが目指すのは「より良いものを、より早く、より安く」。そのためには現状に満足することなく、より良いものを絶えず追及する姿勢が求められる。
仕事をしていれば日々問題やムダに気づいたり、やりにくさやしんどさを感じることがあるはずだ。これらをそのままにするのではなく、常に「もっと良い方法はないか、もっと楽なやり方はないか、ムダを省けないか」などと考え続けることで「今よりも良いやり方」を見つけることが「改善」の基本である。その際、お金よりも知恵を使って解決するのがトヨタ生産方式改善の基本となる。

2.見える化
問題を解決するためには問題を隠すのではなく、みんなに見えるようにすることが大切だというのがトヨタ生産方式の考え方だ。
問題があれば機械を止めるのもそのため。機械を止めれば、問題が起きたことが周囲に見えるが、たとえ不良品が出ても脇に置いてそのまま機械を動かせば誰にも問題が起きたことは見えない。これでは問題を解決するための知恵が出ることはない。
つまり、見える化というのは問題をみんなに見えるようにして、みんなで知恵を出し、みんなで解決するための仕組みといえる。
見える化にはこうした「現場の見える化」「問題の見える化」とは別に、「思いの見える化」「原価の見える化」「能力の見える化」「進捗状況の見える化」などたくさんの「見える化」がある。いずれも問題解決に向けてみんなの知恵を引き出すための仕組みといえる。

3.「なぜ」を5回繰り返す
問題が起きた時、責任追及よりも原因追究を重視するのがトヨタ生産方式の考え方。その際、「なぜこの問題が起きたのか?」に対する「なぜ」の追求が甘いと、表面的な原因を「真因」と思い込んで対策をとることになってしまう。しかしそれでは本当の原因をつぶしていないために同じような問題が再び起きてしまう可能性が高い。
そこで「なぜ」をとことん繰り返して「真因」を見つけ、真因をつぶす改善をしなければならないというのがトヨタ生産方式の考え方だ。

4.ムダどり
トヨタ生産方式は通常みんなが仕事と思ってやっていることの中には「ムダ」と「付随作業」(本来はムダだが、現状ではやらなければならないもの)、「正味作業」があり、ムダを省き、付随作業を改善して可能な限り正味作業の比率を高めていかなければならないと考えている。
ちなみにここでいう「ムダ」は生産現場では「付加価値を生まない作業」を指し、間接部門やサービス業では「お客さまの役に立たない作業」などを指している。
生産現場には「7つのムダ」(加工・在庫・つくりすぎ・手持ち・動作・運搬・不良/手直しのムダ)があるとされますが、間接部門などにも同様のムダがあると考えている。こうしたムダを省くことを「ムダどり」というのだ。

まとめ

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トヨタ生産方式は、「お客様にご注文いただいたクルマを、より早くお届けするために、最も短い時間で効率的に造る」ことを目的とし、長い年月の改善を積み重ねて確立された生産管理システムである。
「日々改善」、「よい品(しな)よい考(かんがえ)」の思想を実践することで、トヨタ生産方式は世界に名の知られる生産方式へと進化していった。そして、現在も全生産部門において、「カイゼン」という名のもと、進化に向けて日夜努力が続けられているのだ。
今日では、「トヨタのモノづくりの精神」はTOYOTA WAYと称され、日本国内や自動車産業にとどまることなく世界中の生産活動に適用され、グローバルな進化を続けている。
製造業では長らく押し込み生産の大量生産が続いていたが、トヨタ生産方式が評価されてからは、多くの工場、物流企業で採用されている。日本だけではなく、また工場現場だけでなく、ファーウェイ、アマゾンといった会社が熱心にトヨタ生産方式を研究して採り入れている。

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