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時価総額24兆4,000億円でトヨタ超えのテスラ コロナショックで独走状態

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アメリカのEV(電気自動車)メーカー、テスラの「価値」の上昇が止まらない。同社の株式時価総額は先週、一時2277億ドル(約24兆4000億円)まで上昇。トヨタ自動車を抜いて自動車業界のトップに立ち、その後さらに差を広げている。株価上昇の背景にあるのは、新型コロナウイルスによる競合他社の落ち込みだ。世界の自動車需要が減退し、各社の次世代技術「CASE」の開発が遅れることで、テスラの独走感がより際立つ構図となっている。

自動車産業のトップに立ったテスラCEOイーロン・マスクの快進撃は続くのか

時価総額トップへ

2020年7月1日はテスラにとって記念すべき日となった。少し前までは「新興メーカー」の扱いだったテスラの時価総額が2076億ドルとなってトヨタ(21兆7185億円=7月1日時点)を抜き、業界トップに躍り出たのだ。テスラの株価は年初から2.7倍に上昇。新型コロナウイルスをものともせず、快走を続けている。
2日には20年4~6月期の世界販売台数が前年同期比5%減の9万650台だったと発表した。販売が急減している他の自動車メーカーと比べ、優位なポジションを固めている。
とはいえ、テスラの世界販売は19年に37万台程度。971万台のトヨタはともかく、多くの自動車メーカーの10分の1にも満たない規模だ。成長株のEV(電気自動車)を専門にするとはいえ、なぜここまで評価が高いのか。
「大口投資家が銘柄を選ぶ際、大型成長株を狙い、本来のバリューではなく(株としての)クオリティーを追求する傾向が強まっている。自動車全体が苦しくなる中、テスラは『グロース(成長)』カテゴリーに入る唯一の自動車メーカーとなっている」と投資会社の関係者は説明する。

新型コロナウイルスで各社のCASE開発に遅れ

100年に一度とされる変革期を迎え、既存プレーヤーも成長に向けた「仕込み」を急いでいる。その中でも重要な位置づけにあるのが自動運転。各社は米アルファベットや米エヌビディアといったIT大手と組んで技術を磨いて早期の実用化を模索し、最近まで、25年ごろには自動運転車が普及するとみられてきた。
アルファベット傘下のウェイモは1月、公道での走行距離が2000万マイルを超えたと発表。米ゼネラル・モーターズ傘下のクルーズなども実績を積み上げている。ただ「極限の安全性を確保する難しさが浮き彫りになってきた」(自動運転の実証担当者)。先行きが不透明となる過程で、やってきたのが、コロナショックだった。
新型コロナウイルスは自動車産業を直撃する一方、技術面で、CASEでも先行していたシェアリング(S)の世界を吹き飛ばした。「共有」がマイナスとなり、自家用車で人を運送する「ライドシェア」の利用者は急減した。代表格の米ウーバー・テクノロジーズの20年1~3月期の最終損益は29億3600万ドル(約3100億円)の赤字となった。
このライドシェアの先にあったのが、自律したクルマが人や荷物を運ぶ「ロボタクシー」の世界だ。シェアリングが当面逆風となれば、自動運転技術の実用化を急ぐプレッシャーも弱まる。6月には独ダイムラーのメルセデス・ベンツと独BMWが自動運転技術における共同開発を休止すると発表。CASE投資にも、強弱をつける動きが出始めた。

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テスラは12年にEVセダン「モデルS」を発売。早期から高度な運転支援技術を導入するなどチャレンジを続けてきた。常時ネットに接続してソフトの更新をワイヤレスで実現し、「常に進化する」というITの発想をクルマに持ち込んだ。「C」と「E」はおはこで、「A」の手前の運転支援技術でも先行する。先端半導体の開発に乗り出すなどさらなる成長の道筋も描く。
世界の自動車需要が約9000万台だった19年の水準に戻るのは23年とされる。多くの自動車メーカーにとって、今後しばらくは工場の稼働率が上がらない中で必死に耐える期間が続く。「ただでさえ厳しいところに、コロナでさらに厳しくなった。比較対象が悪すぎるのでテスラとの濃淡が強くなっている」と関係者は話す。テスラとしても、実態のある、真のバリューを積み上げる正念場となる。

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