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車のネット販売が新型コロナウイルスで加速

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新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、対面が基本だった自動車販売のあり方が変わってきた。トヨタ自動車の4月の米国販売は、見積もりから決済までをオンラインで済ませる電子商取引(EC)が大半を占めた。巨大市場の米国や中国がけん引する形で、ネットで新車を買う新たな事業モデルが育ちつつある。果たして日本でもオンライン販売が広がっていくのだろうか。

加速する自動車販売のオンライン化

「まさか、これほどまでとは」
トヨタの4月の米国販売は8万4694台だが、このうち政府向けなどを除いた約8万台のほとんどがオンライン販売だったというのだ。トヨタは実際の数字を明らかにしていないが、大部分がオンラインだったのは事実のようだ。
1年前の2019年4月、トヨタの米国販売は約18万台と今年の2倍強で「対面販売がほとんどだった」。米国には約1500のディーラーがあり、訪問客にクルマを売る日本と同様の販売モデルだ。ただ、コロナショックに襲われた今年3月以降、全米50州の30州以上で「在宅命令」が出たことを受け、多くのディーラーは開店休業を余儀なくされた。

■トヨタが導入したECプラットフォーム「スマートパス」のイメージ

この状況で急速に動き始めたのがオンライン販売だ。トヨタは19年までに自前のECプラットフォーム「スマートパス」を整備しており、導入するディーラーが相次いだ。このプラットフォームでは、購入者がディーラーにクルマを取りにいくことが基本だが、外出が規制された状況下ではディーラーの販売員が自宅にクルマを届けるスタイルが定着した。
トヨタでオンライン販売が進んでいるのは米国だけではない。中国の販売は2月に7割減の2万3800台となったが、EC販売は過去最高の4割となった。都市封鎖が解けた4月の新車販売は0.2%増の14万2900台。そのうち4万台以上がオンライン経由だったようだ。
トヨタ以外の国内メーカーはどうか。ホンダは米国の約1400の販売店の15%の店舗で3月31日からオンライン販売を開始。見積もり、売買契約、保険契約をネットで完結できるようにした。マツダのメキシコでの4月の販売台数は1920台で、「ディーラーは全て閉まっているので販売はすべてオンライン」(梅下隆一執行役員)という。

先行テスラはアリババと連携

新車のネット販売の先駆けと言えばテスラだ。19年2月、一度は全店舗を閉鎖して販売をオンライン経由に変更すると発表。その後、閉鎖店舗は当初計画の半数程度としたようだが、自社ホームページが販売の軸となっている。実店舗とは距離を取る一方、今年4月には中国アリババ集団が展開するECプラットフォーム「天猫(Tモール)」に出店。アクセサリーやパーツの購入や試乗の予約ができる。


■テスラはリアル店舗を閉鎖しネット販売への移行を進めている

米ゼネラル・モーターズも巻き返しを図る。メアリー・バーラCEO(最高経営責任者)は5月6日の決算会見で「オンライン販売がディーラーの強力なツールになる」と言及。20年1~3月期に「ショップ・クリック・ドライブ」という同社プラットフォームへのアクセス数が4割増え、「訪問者」は過去最高水準となったと胸を張った。
中国の吉利汽車は、非接触での販売を追求するため、オンライン購入した顧客の自宅などに自動車をキャリアカーで運んだ上で、カギをドローンで届けるサービスを始めると発表した。
日本においては、自動車会社の販売店への配慮もあって、新車のネット購入は縁遠い印象にある。経済産業省の電子商取引に関する市場調査によると、「自動車、自動二輪車、パーツ等」のEC化率は18年に2.76%で、消費者向け商品で最低水準だった。ただ、各社が19年に一斉導入した定額制の「サブスクリプション」モデルは、ウェブで一括契約できる手軽さが売りだ。車両のほか、保険、税金などの手続きが必要なく、一定期間、月々定額でクルマを乗り換えられるプランで、実態は「新車のネット契約」に近い。
テスラは引き渡しから7日以内か1600キロ以内の走行であれば無料で返却できる仕組みを取り入れている。長期の試乗期間のようなもので、そもそも品質が安定している新車は中古車よりもネットで買いやすいはずだ。
日本では、政府がオンラインで10万の新型コロナ給付金を配るのにも手こずっている状態だが、利便性の高い選択肢として、自動車販売のオンライン化の波が日本にもたどり着く可能性は確実に高まっている。

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