2020年ニュース

国内自動車メーカーのMaaS戦略まとめ|トヨタ・日産・ホンダ

投稿日:2020年5月4日 更新日:

100年に一度の大変革期といわれている自動車メーカー各社では、単なる自動車の製造会社から、モビリティサービス会社へと変貌を遂げている。
MaaS(マース:Mobility as a Service)をキーワードに、各社の取組みを考察する。

〈MaaSとは〉バス、電車、タクシーからライドシェア、シェアサイクルといったあらゆる公共交通機関を、ITを用いてシームレスに結びつけ、人々が効率よく、かつ便利に使えるようにするサービスの総称

トヨタ自動車のMaaS

日産のMaaS

ホンダのMaaS

トヨタ自動車のMaaS

「自動車業界は『100年に一度の大変革の時代』に入っている」
2018年、トヨタ自動車の豊田章男社長はそう語り、トヨタを「クルマを作る会社」から「モビリティカンパニー」にモデルチェンジすると表明した。
同年初め、米国ラスベガスで開催されたCES(家電見本市)では、「e-Palette Concept」と呼ばれる箱型の移動・物流兼用無人運転シャトルを発表した。この 「e-Pallete」は、ライドシェアリング仕様やホテル仕様、リテールショップ仕様などにするための設備を搭載することを前提として開発されている。


2018年10月にはソフトバンクとの提携を発表し、共同出資でMONET Technologies(以下MONET)という新会社を設立すると発表。MONETの株主構成は日野自動車や本田技研工業、いすゞ自動車、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、マツダなど自動車業界の垣根を越えている。また、MONETコンソーシアムに加盟する企業数も20年2月に500社を超えている。自治体との実証実験や包括連携協定なども加速している状況だ。

2018年11月には福岡市でスマートフォン向けモビリティサービス「my route(マイルート)」の実証実験を始めた。「マイルート」は、スマートフォンのアプリ利用者が、電車やバス、タクシー、レンタカー、カーシェアなど多様な移動手段を組み合わせ、目的地までの最適なルートを検索したり、乗車予約・決済ができたりするサービスだ。乗用車が今までのようには売れなくなる時代の到来に備え、新たな収益の芽を育てるためだ。
2018年11月にサブスクリプション(定額利用サービス)の「KINTO(キント)」を発表し、翌年2月に導入を開始した。
2019年10月には販売店とレンタカー営業所でカーシェアリングサービス「TOYOTA SHARE」を開始。翌月にはキャッシュレス決済アプリ「TOYOTA Wallet」の提供を開始した。
そして2020年1月のCESでは、自動運転やMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、ロボット、AI(人工知能)技術などを導入・検証できる実証都市「Woven City(ウーブンシティ)」と名づけた新たな「コネクティッド・シティ」構想を発表した。
トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発へ、ロボットやAI技術を駆使した“スマートシティ" - 写真1

2020年末に閉鎖予定のトヨタ自動車東日本 東富士工場(静岡県裾野市)の跡地を利用して、将来的に175エーカー(約70.8万平方メートル)の範囲において街づくりを進めるべく、2021年初頭に着工する予定。このプロジェクトの目的は、ロボット・AI・自動運転・MaaS・パーソナルモビリティ・スマートホームといった先端技術を人々のリアルな生活環境の中に導入・検証出来る実験都市を新たに作り上げること。様々なパートナー企業や研究者と連携しながら、技術やサービスの開発・実証のサイクルを素早く繰り返し、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスが情報で繋がることで生まれる、新たな価値やビジネスモデルを見出していく。トヨタでは今後、様々なパートナー企業や研究者と連携しながら街を作り上げていく予定だ。

日産のMaaS 

「NISSAN e-シェアモビ」は、日産のEV(電動車)とe-POWERのみを使ったカーシェアリングサービスで、EVならではのドライビングの楽しさと快適さを体験できる電動化技術と、自動運転支援技術や自動駐車機能などの知能化技術を体感できるサービスだ。
さらに、免許証がそのままIDカードとなり15分単位から利用できること、利用時の距離料金が追加発生しないことなど、使いやすいカーシェアサービスとして人気を博している。

また、日産とDeNAが組んで2018年から実証実験に臨んでいる「Easy Ride(イージーライド)」にも注目だ。
「Easy Ride」は「もっと自由な移動を」をコンセプトに、誰でもどこからでも好きな場所へ自由に移動できる交通サービスで、移動手段の提供にとどまらず、地域の魅力に出会える体験の提供を目指します。「Easy Ride」のサービスは、DeNAと共同開発する専用のモバイルアプリで目的地の設定から配車、支払いまでを簡単に行うことができる「手軽さ」と、目的や気分に合わせて地元のスポットやおすすめの観光ルートなどの行き先を自由に選択できる「自由さ」、日産ならではの信頼性の高い自動運転技術や無人運転車両でも24時間体制で遠隔管制センターがサポートしてくれている「安心感」を提供することを目指している。

EasyRideの専用アプリをインストールしたスマートフォンを使い、アプリ上で目的地を設定。次に出発時刻と到着予定時刻を確認して予約は完了。アプリの指示に従って車両ドアの窓に貼られている「QRコード」をスマホで読み取るとドアが開き、乗車が可能となる。車両に乗り込んだらBピラーにある「GO」ボタンを押すと自動的にドアが閉まり、目的地まで自動運転で運んでくれる無人配車サービスだ。
しかし、日産のMaaS戦略は一変する。
日産とルノー(Renault)とGoogle系のウェイモ(Waymo)社が2019年6月20日、無人運転車を使ったモビリティサービスに関する独占契約を締結したと発表したのだ。
ウェイモは、日本では日産自動車とのみ、ドライバーレスモビリティサービスの実現可能性を検討するとしている。3社はフランスと日本にドライバーレスモビリティサービスに特化した合弁会社も設立する計画だ。
日産は、無人運転車を使ったDeNAとの「Easy Ride(イージーライド)」などの既存の取り組みは維持するとしており、今後新しく始める取り組みについては、ウェイモとのみ行うこととなる。

ホンダのMaaS
ホンダはMaaSにエネルギーサービスを組み合わせた「Honda eMaaS」という概念を新たに打ち出している。eMaaSでホンダは何を目指すのか。
「Honda Meeting 2019」というイベントにおいて、同社の技術開発の方向性について報道陣に説明した。
ホンダは「すべての人に“生活の可能性が拡がる喜び”を提供する」ことを「2030年ビジョン」として掲げているが、同イベントでは「カーボンフリー社会に向けた環境技術」「事故ゼロ社会に向けた安全運転支援・自動運転技術」「eMaaS」「コネクテッド」などのテーマで、ビジョン実現に向けて取り組んでいる技術開発について情報発信を行った。「Honda eMaaS」はこのイベントで初出となった概念だ。
ホンダはクルマとバイク以外にもさまざまな商品を取り扱っている。例えば飛行機、ロボット、芝刈り機、耕運機、発電機など、それらの商品を全て合わせると、ホンダは年間3,200万人の顧客と何らかの「つながり」を持っていることになる。
これらの商品の中には、電気で動く多くの「電動モビリティ」が含まれる。これらの商品は、当然ながらバッテリーを積んでいるので、“動く蓄電池”として活用することができる。
ホンダは電動モビリティとエネルギーサービスを組み合わせることで、「自由な移動」と「再生可能エネルギーの拡大」の実現を目指すことを「Honda eMaaS」の目標としている。

「Honda eMaaS」の概念図

2019年3月、ホンダは1通のリリースを出した。
「MONETが日野自動車およびHondaと資本・業務提携」
MONETは、前述の通りソフトバンクとトヨタ自動車が共同出資して立ち上げたMaaS(Mobility as a Service)の実現を目指す会社である。
ホンダは前年10月に、米GMと無人ライドシェアサービス用車両の開発で協業を発表している。実はこちらの枠組みにもソフトバンクの名前がある。つまりホンダは枠組みを切り替えない限り、ライドシェアに関してはGMと、そしてもっと範囲の広いMaaSに関してはMONETと組んだということになる。
今回のホンダの決断は、独立独歩を貫こうとしてきたホンダの大きなスタンス変更といえる。ひとまずMONETを通じて、トヨタアライアンスとの距離は縮まることになる。後の選択肢として、アライアンスへの合流をカードに加えておく戦略だろう。
MaaSの覇権争いが激化しそうな自動車業界にありながら、ホンダは新たなコンセプトを立ち上げ、着々と準備を進めている。なぜ同社が新しいことに挑戦し続けるのかといえば、「常に新しい価値をお客さまに届けるのがホンダの使命」と考えているからなのだろう。
ホンダの次世代戦略 はこちら

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