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トヨタ新型ハリアー コロナ不況に打ち勝てるか

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トヨタ「新型ハリアー」異例ずくめの新車発表の裏側

まさに「静かに発表された」といえる。
トヨタ自動車は4月13日、SUVの新型「ハリアー」を6月に発売すると発表した。1997年に初代モデルが登場したハリアーのフルモデルチェンジは約6年半ぶりで、今回のモデルで4代目となる非常に人気の車種だ。今回、ハリアーとして初めて次世代プラットフォーム「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」を採用した。ボディの高剛性化と低重心化により、乗り心地と走りの両立を目指したという。

トヨタ 新型「ハリアー」のフロントエクステリアとフロントフェイス

大人気モデルの新車発表がプレスリリースのみ

トヨタの国内販売はこれまで「トヨタ」「トヨペット」「ネッツ」「カローラ」の4チャネルで展開されており、それぞれ取り扱う車種が異なっていた。しかし5月から全チャネルで全車種を取り扱う「併売化」という大変革が全国で起こるのだ。従来はトヨペット店のみで売られていたハリアーも、5月からは4チャネルどこのトヨタ販売店でも購入できるのだ。
この併売化後の新車発売一発目となる新型ハリアーは「併売化の目玉」と言われ、非常に大きな重責を担っている。
しかし、併売化のアピールという重責を担う目玉車種であるにもかかわらず、新型ハリアーの発表はなんと「プレスリリース」のみであった。
新型ハリアーのプレスリリースはこちら
ウェブ上で発表会を開くという手もあったが、トヨタはあえてプレスリリースのみの配信とした。異例の対応を余儀なくされたのは、新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言が出されているためだ。自宅待機が叫ばれているなか、クルマを積極的に売り出すのは「移動を助長しているのか」と言われかねない。
現時点でトヨタは詳細な発売日や価格を公表しておらず、予約注文も開始していない。新型ハリアーを紹介するホームページ では、「新型コロナウイルスの影響により、発売が変更になる可能性がある」との断りを入れている。
緊急事態宣言の解除などコロナの感染拡大に収束のメドがつけば、発表会といった形で正式に「お披露目」されることになるが、現時点ではその時期がまったく見通せないでいる。

トヨタ 新型「ハリアー」のリアエクステリアとリアイメージ

新型コロナで販売現場は一変

「新型ハリアーを軸に併売化で新しいお客さんが取れるチャンスだと思っていたが、このコロナウイルスでまったく分からなくなった」某ネッツ販売会社の社長は戸惑う。
緊急事態宣言の発表後も大半の自動車販売会社は営業時間を短縮したうえで店舗の営業を続けている。自動車販売店は「社会生活を維持する上で必要な施設」として、休業要請の対象外の業種だからだ。車の修理やメンテナンスを通じて、人々の移動手段を守ることが求められている。
そうした事情もあり、ある販売会社では4月と5月は営業目標を設定しないことにしたという。同社の社長は「感染リスクを避けるため、既存顧客には商談での来店を積極的には呼びかけられない。飛び込みの客も今は皆無。お店を開けているのは社会的使命からだ」と話す。
この会社では4月の新車受注台数は前年同月比で3~4割の減少を見込む。自社客で新型ハリアーに関心がある人にはダイレクトメール(DM)を郵送しているものの、「お客さんの消費マインドは相当下がっていて、新型ハリアーの商戦が盛り上がらない可能性が高い」と不安が募る。
専売車種として長くハリアーを扱ってきたトヨペット系の販売店も余裕はない。あるトヨペット系販売会社では、新型ハリアーの発売を睨み、現行ハリアーのユーザーには刷新予定の情報を去年秋からひそかに伝えてきた。併売化でほかのチャネルに自社の顧客を持っていかれるのを阻止するための動きだ。
新型ハリアー発表後は現行のユーザーに対して密に連絡を取っているという。ただ、「コロナ危機で夏のボーナスが減れば、こちらの期待どおり買い替えはしてくれないだろう」と新車の買い控えを懸念する。

トヨタ 新型「ハリアー」のサイドイメージ

コロナでどうなる自動車業界

国内販売シェア約50%を誇るトヨタでさえ苦境に立っている。2020年の世界の新車販売はコロナショックで少なくとも20%は減少するとの見方が世界のアナリストの間では主流になりつつある。2019年にグループで過去最高の1074万台を販売したトヨタにとっても、大幅な販売減は避けられない。
トヨタの豊田章男社長は4月10日に日本自動車工業会の会長として、ほかの自動車3団体トップとともに開いた緊急会見で次のように話した。
「新型コロナウイルスが収束した時に経済をいち早く復活させる一番の原動力になりたい」。自動車の生産波及効果は国内の全産業でトップだからこそ、経済の維持や回復で果たすべき役割が大きいと訴えたのだ。
魅力的な新型車があれば、消費者は競合車種を含めて購入を検討するようになり、新車市場の活性化につながる。未曽有の経済危機の最中に発売を迎える新型ハリアー。これまでとは比べものにならないほど大きな使命をこの車は背負っているのだ。

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