すべての記事

ゼンリン|MaaS時代の戦略

投稿日:

クリックすると新しいウィンドウで開きます

ゼンリンは、コト・モノ・ヒトが複雑につながる現代社会にて、グループが保有している位置情報や一般に流通している情報の「量と質」を最適化し、利活用することで新たな価値の創造を目指している。

地図情報の重要性
MaaSの普及時代には地図の重要性とその可能性が増す。従来のナビゲーションでは、これまで分割されていた自動車系と公共交通系(徒歩ナビゲーション)がより密接に連携する必要がある。配車機能が普及すると、ピックアップポイントのための道路の路肩情報や目的地の入口情報などこれまで整備対象となりにくかった地点情報のニーズも増していく。
多くのMaaSアプリは立ち上げると、はじめに地図が表示され、ユーザーの現在地を示す。その上で移動の起点となる自分のいる位置と行きたい場所を指定していく。MaaSに必要な公共交通や配車サービス系の情報の土台には常に地図情報がある。
ここで、地図情報の精度や粒度、鮮度の問題も重要となる。MaaSアプリを頼りにあらゆるモビリティサービスの移動を徒歩も含めてサポートする必要があるため、ユーザーが配車されたモビリティと適切に出会うことや、誤りなくバス停まで歩いていくためには粒度の細かな地図情報が欠かせない。
2019年10月に行われたITS世界会議において注目されたセッションでは、リトアニアのTRAFIやシンガポールのMobilityX、シーメンス社などから MaaSアプリ ⇒ MaaSシミュレータ(データ分析)⇒ 交通マネジメントにつなげていくという構想が発表された。単なる便利なユーザー向けサービスに留まるのではなく、ユーザーとモビリティの移動実績などデータ分析を通じて、交通マネジメントまで行っていくというものである。
このようにナビゲーション用途としての地図だけでなく、今後はどのような情報を「地図」で整理・統合することによって新たな価値を生み出していくのかが焦点となっていく。

ゼンリンへの期待
ゼンリンは、住宅地図の整備から始まり、カーナビゲーション用、インターネット用、自動運転用地図など絶えずその事業に対して変化と進化を起こし続けてきた。土台となる情報インフラが整備されれば、上に乗るアプリケーションやサービスはより利便性高く付加価値の高いものとなるというICTのイノベーションの構造を体現し続けてきた企業である。
これまでは、所謂 “インターネットの時代” であった。そして、すでに人と情報はインターネットを介して十分につながったといえるが、次に訪れるのは「人とモノ(モビリティ)がつながる時代」である。その変化は、これまでのカーナビゲーションシステムやスマートフォンの発明・普及と同じように社会に大きなインパクトをもたらすだろう。

トヨタ自動車の豊田章夫社長は、CES2018 において100年に一度のモビリティの変革に言及されたが、CES2020ではWovenCityという都市レベルでの開発について言及した。
今後は、ユーザー向けサービスに加えて、交通や医療、小売り、行政サービスに至るまで連動していく状態が想像される。この変化は、ICTによるイノベーションよりも、その未来を見通すことが難しい。未だ誰も未来の都市の姿やその生活の有り様を知っているプレイヤーはおらず、これまでの技術革新の延長線にあるものとも違う発想が必要である。

その中で、これまで多くのイノベーティブなサービスの進化を支え続けてきた、ゼンリンに掛けられる期待は大きい。今後多くのユーザーの未来の生活や、事業者やクリエイターの多様なアイデアを如何に「地図」の上に載せていけるのか。その大いなる未来のビジョンを実現するために、多くのプレイヤーと連携しながら、新しい価値を生み出すことが期待される。

クリックすると新しいウィンドウで開きます

高精度な地図データによるテレマティクス事業を展開する株式会社ゼンリンデータコムと、AIを活用した自動配車システムを提供する株式会社ライナロジクスは、2020年4月1日に業務資本提携を結んだと発表した。
両社は昨年6月、宅配・物流業務における「ラストワンミニット※1」問題を解決するプラットフォーム事業で提携。輸送・配送計画の策定から管理までを統合して運用できるオープンなプラットフォームの構築・提供に取り組んで来た
※ラストワンミニット: エンドユーザーの手元に届く最後の1分の距離

両社は、このモビリティプラットフォームについて、「 MaaS の実現やスマートシティ構想において、全ての人にストレスのない完璧なドアツードアの輸送や、貨物移動を提供するモビリティの基盤となること」を目指すとしている。実験概要図

ドローンを活用した複合物流の実現

ゼンリンデータコムとモバイルクリエイトは「準天頂衛星『みちびき』のセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)とドローンの自動飛行技術を組み合わせた複合物流の実証実験」を行った。実証実験の目的は、ドローンにみちびき測位機器を搭載し、センチメータ級測位補強サービス(CLAS)とドローンの自動飛行技術を組み合わせ、トラックからの自動離発着を行い、高精度測位と制御技術の実証を行ったもの。その結果、みちびきのセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)と、ドローンの自動飛行システムを組み合わせることで、実用的な誤差範囲で飛行制御ができることが実証された。これにより、車両だけでは配送が成り立たない僻地や限界集落などへの配送の、ラストワンマイルの部分をドローンが担う複合物流を行うことが可能になった。

高度地理空間情報データベースの共同構築

日本電信電話(NTT)とゼンリンは、IoT/AI時代に向けた地図高度化のための協業を目的とした資本業務提携に合意した。
NTTは、ゼンリンの実施する自己株式の第三者割当を引受け、ゼンリン普通株式420万株(発行済株式総数の7.32%、議決権比率7.56%を持つトヨタ自動車に次ぐ7.44%と、NTTは第3位株主となる見込み)を4月13日(予定)に45億円強で取得する。
両社は、インフラ管理、MaaS・自動運転分野、スマートシティ等の分野における両社のビジネス拡大、およびNTTが構想する「4Dデジタル基盤」推進のため、NTTグループの測位技術や地図整備・インフラ維持管理のノウハウと、ゼンリンの地図制作ノウハウを活用し、高精度で豊富な意味情報を持つ「高度地理空間情報データベース」を、2020年度から共同で構築する。

コト・モノ・ヒトが複雑につながる現代社会において、ゼンリンが保有している位置情報は、あらゆる企業と連携して新たな価値の創造に寄与していくことであろう。

-すべての記事
-, ,

Copyright© 自動車業界最前線|MaaS・CASE , 2020 All Rights Reserved Powered by STINGER.