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トヨタのコネクティッド&MaaS戦略

投稿日:2020年3月14日 更新日:

トヨタでは2018年から決算説明会の場を使い、取り組みを進めている競争力強化の活動内容について各領域を担当する副社長がプレゼンテーションを行なっており、2019年2月、当時トヨタのコネクティッド、TOYOTA GAZOO Racing、TPS(トヨタ生産方式)、新規事業などを統括していた友山副社長が「トヨタのコネクティッド&MaaS戦略」と題して解説を行った。

トヨタコネクティッド戦略は3本の矢を軸に展開

トヨタでは2016年末に、コネクティッド戦略の3本の矢を発表している。
①「全車両のコネクティッド化とモビリティサービスプラットフォーム(MSPF)の構築」
②「ビッグデータの活用によるトヨタ自身のビジネス変革」
③「新たなモビリティサービスの創出」

 

コネクティッド戦略における「守り」「改善」「攻め」という“3つの顔”

「守り」ユーザーと長期的な信頼関係を確立して既存のバリューチェーンを維持、拡大していく。

「改善」従来から続けてきた仕事のやり方を変革し、品質やリードタイム、生産性を飛躍的に改善する。

「攻め」クルマの新たな価値、新たなモビリティ事業を創出する
この中で友山副社長は、現時点ではカーナビのソフトウェア更新に限られているOTA(Over-the-Air)の技術を、2020年からはECUの制御ソフト更新にも展開していくと語り、これによってクルマのソフトウェアが常に最新の状態に維持でき、入庫して部品交換するこれまでの手法と比べて大幅にコスト低減することが可能だとした。

MaaS戦略3つのアプローチ

トヨタのMaaS戦略は「外部事業者協業モデル」「トヨタ事業主体モデル」「販売店事業主体モデル」の3つのアプローチによって推進されていく。どのモデルを利用するかは地域によって異なるが、車両の提供に加え、メンテナンスや保険、リースといった「バリューチェーンビジネス」をいかにしてトヨタが確保するかが重要になるとの認識を示した。

Grab社との協業

「外部事業者協業モデル」の一例として、2017年8月から推進している東南アジアの配車サービス「Grab」との協業について紹介。トヨタが開発した「ライドシェア車両向けのトータルケアサービス」をシンガポールで利用されている1500台のGrab車両に提供しており、Grab車両専用に開発した集中サービスシステム「ICS(Intensive Care Stall)」が現地のトヨタ販売店に設置され、車両の稼働率向上、保守費用の低減が実現しているという。

トヨタ主体のMaaS事業「KINTO」「TOYOTA SHARE」

このほかにも、日本国内では前日の2月5日に発表された愛車サブスクリプションサービス「KINTO」を個人向けカーリースとして展開し、1月からスマートフィンでドアロックなどを行なえる「TOYOTA SHARE」もスタート。米国でもハワイでカーシェアサービス「Hui」を2018年7月から行なっており、今後は米国全域への展開を予定していると友山副社長は紹介。「いずれにしても、コネクティッドカーとMSPFがその基盤であることは言うまでもありません」とした。

MaaSで利用される車両「e-Palette」「MaaS Sienna」「MaaS EV」

現在では既存モデルを使っているが、将来的には利用特性に合わせた「MaaS向け多目的車」が必要になるとの考えを友山副社長は示し、トヨタでは現在、MaaS向けの車両として「e-Palette」「MaaS Sienna」「MaaS EV」の3種類で対応する計画であると語り、この3モデルの延長線上に「将来の自動運転モビリティサービスがある」とした。一方、レベル4の自動運転が、いつ、どれぐらい普及するかについては、技術やコスト面だけでなく、法整備や社会的コンセンサスの形成などの課題から予測することが非常に困難であるとの見方を示した。 このため、トヨタではレベル4のベースとなるレベル2、レベル3といった自動運転の量産車に、「ADK(Autonomous Driving Kit)」と呼ばれる機器を装着することでレベル4のMaaS専用車にするというコンセプトで実用化を目指していくと語った。

自動運転レベル4にむけた「ADK(Autonomous Driving Kit)」機器

ADKは、自動運転の制御ソフトを第三者が開発することも視野に入れつつ、トヨタが開発している「ガーディアンシステム」を車両側に備えることで周辺状況を2重で監視。車両の総合的な安全性を高めるほか、ADKと車両のインターフェイスは標準化を行ない、ガーディアンシステムを含む制御ユニットを汎用化することで適応を広く拡大するとの方針で開発を進めていることも明らかにされた。

MaaS戦略実現にむけ「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)」設立

トヨタはソフトバンクグループや主要MaaSプレーヤーと提携し、「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)」を設立した。年内に複数の市町村でサービスを行なう予定としており、将来的にはe-Paletteを導入することも視野に入れていると友山副社長は語った。

友山副社長(当時)の最後の言葉

友山副社長は「電動化、知能化、情報化の技術革新でクルマは大きく進化しつつあり、自動運転モビリティ社会の実現も期待されています。ただし、AIを駆使して高度なソフトを開発することだけがその普及を促すことにつながるわけではありません。クルマはそれ自体も高度なハードウェアとソフトウェアのかたまりであり、今でも発展途上の工業製品であると同時に、人の命をお預かりする商品でございます。そのようなクルマに、AIを搭載して適正な品質とコストで量産し、タイムリーにメンテナンスして安全、利便な移動サービスとして社会に普及させるためには、これまで私どもが培ってきたTPSをはじめとするリアルのノウハウと技術。また、サービスネットワークをはじめとするリアルの資産。いわゆる『リアルの強み』をさらに研ぎ澄ませていくことが重要であると認識しています。コネクティッドからMaaSビジネスへ、トヨタのモビリティカンパニーへの路線はまだ始まったばかりですが、“誰もが自由で安心快適なモビリティ社会”の実現に向けて貢献してまいりたいと思います」とコメントし、プレゼンテーションを締めくくった。

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