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人の移動に大変革をもたらす「MaaS(マース)」の事例

投稿日:2020年2月24日 更新日:

MaaSとは「Mobility as a Service」の略で、日本語にすると「サービスとしての移動」。個々人の移動を最適化するために様々な移動手段を連携活用する交通システムだ。大都市の激しい交通渋滞、高齢で運転ができないなどさまざまな問題を解決する次世代交通システムとして、いま世界中で脚光を浴びている。
たとえば、サッカーを観戦するためにスタジアムへ行くとき。いまでもアプリを使えば自宅からスタジアムまでの最適経路と利用すべき交通機関、所要時間や料金などを簡単に知ることができるが、MaaSではこの検索機能にプラスして予約や支払いも、スマホなどの端末を使い、まとめてできるようになるということだ。

MaaS先進国 フィンランド

具体的な事例として、フィンランドの運輸通信省の支援のもと、マース・グローバル社が立ち上げたMaaSのシステムを紹介する。「ウィム(Whim)」というMaaSアプリを使って利用するこのサービスは、2017年から首都ヘルシンキで実用化されている。
フィンランドのMaaSアプリ「ウィム」の画面
利用者はまず、ウィムアプリに目的地を入力する。すると公共交通機関を利用するいくつかの経路と料金が提案されるので、希望のものを選んで決済を行い、経路に合わせて移動する。この経路のなかにはレンタカーやシェアサイクルやカーシェアなども含まれ、レンタカーの場合は車種なども選ぶことができる。

バス、電車、レンタカー、タクシー、レンタサイクル、飛行機などあらゆる交通手段がニーズに合わせてパッケージ化され、定額で提供されるサービスだ。これにより、人は車を所有することから解放され、より多くの自由な時間を過ごせ、駐車場として使っていたスペースを別の用途に活用でき、環境汚染を減らし、不要な出張を減らし、通勤の質を向上させ、車の故障などのトラブルに悩まされることもなく、結果としてより自由な人生を楽しむことができる、というコンセプトになっている。

日本の取組み

アプリひとつで“移動”を完結させる」 ──フィンランド発の「Whim(ウィム)」が2019年12月、千葉・柏の葉で実験的にサービスを始める。
2020年初頭には本格的にサービスを開始、2020年春には月額制サービスの導入を目指し、ほかの2〜5都市でも導入の議論が進んでいる。
日本上陸が長らく騒がれてきたウィムWhimだが、最初の拠点として選ばれたのは、柏の葉だった。12月から始まるサービスでは、市内のタクシー・バス・カーシェア・バイクシェアが目的地に応じて表示され、予約と支払いもアプリでできるようになるという。電車などの他の交通機関とも、連携に向けての議論が続いているという。

Whimの構想はこれだけに止まらない。今回のプロジェクトのキモは、三井不動産との提携事業であることだ。
Whimを運営するMaaS GlobalのCEO、サンポ・ヒエタネン氏は「これは、MaaSを次のレベルへ持っていく協業だ」と強調する。

「例えばアパートを借りるときに(職場や学校への)移動手段まで設計し、それを家賃に含めることができたら。そしてそれを都市計画に反映させ、公園やレクリエーション施設などを“移動”の観点からデザインできれば、MaaS構想はまったく異次元の、次のレベルにまでいくことができる」
三井不動産は柏の葉でスマートシティプロジェクトを推進している。Whimと三井不動産が連携することで「移動と暮らしをつなげて考えてまちづくりができる」ようになる、というわけだ。

Whimが注目を浴びて以降、さまざまな事業者が「MaaS参入」を表明してきた。

小田急電鉄は10月30日、箱根エリアと新百合ヶ丘エリアで使えるMaaSアプリ「EMot(エモット)」の実証実験を開始。同日、JR西日本も広島東部エリアで「せとうち観光アプリsetowa(せとわ)」を開始するなど、その動きは2019年後半に入ってさらに活発になっている。

この活性化の背景には、ヒエタネン氏が「駅すぱあと」を手がけるヴァル研究所と小田急電鉄が共同で手がけるデータ基盤「MaaS Japan」を非常に評価していることがあるという。

MaaS Japan

MaaS Japanの仕組み。移動に関わるさまざまな事業者がデータ基盤を共有する。出典:小田急電鉄

「MaaS Japan」は、小田急電鉄に限らない、さまざまな事業者がオープンに利用できるデータ基盤だ。NTTドコモ、DeNA、Japan Taxi、JALといったモビリティ事業者がすでにパートナーとして参加を発表し、それぞれが開発するMaaSアプリで、交通データやチケット情報などを共有する。10月30日、MaaS GlobalとシンガポールのmobilityXもデータ連携に合意した。

このようなオープンなデータ基盤形成の取り組みは世界でも先進的なもので「この取り組みがうまくいけば、日本は世界のMaaS市場のリーダーになれる」とヒエタネン氏は声に力を込める。現状ではさまざまな課題があるものの、フィンランドのようにMaaSの利便性を日本で享受できる日が来るのも遠くはないだろう。

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